- マイクロソフトや任天堂がゲーム価格を80ドル(約1万円)に引き上げ、デジタル版ゲームも対象に
- デジタル版の値上げ理由は「物理版との価格調整」や「開発コスト増加」、「単に価格を上げられるから」など複数ある
- AAAタイトルの価格上昇傾向は続き、ソニーの動きや『GTA6』の価格設定にも注目が集まっている
ゲーム価格が80ドルへ――デジタル版まで高騰する理由とは?
2025年、ゲーム業界に新たな価格上昇の波が押し寄せています。任天堂に続いてマイクロソフトも、人気ゲームの一部を80ドル(日本円で約1万円)で販売すると発表しました。この価格は、パッケージ版だけでなくデジタル版にも適用されるため、消費者の間で大きな議論を巻き起こしています。
物理的なゲームが関税や物流コストなどの影響を受けて値上がりするのは理解できますが、なぜデジタル配信のゲームまで価格が上昇するのでしょうか?
この記事では、ゲーム業界の専門家の分析を交えながら、デジタル版ゲーム価格が高騰する本当の理由を詳しく解説していきます。
理由①:デジタル版でも価格を上げる「間接的な理由」とは
ゲーム業界専門アナリストであるNiko Partnersのダニエル・アーマド氏によると、デジタルゲーム自体は関税などの直接的な影響を受けるわけではありません。しかし、デジタル版のゲーム価格が上がる理由はいくつか考えられます。
その一つが、開発や運営にかかる他のコスト(人件費・開発費・宣伝費など)が増加していることです。デジタル版の値上げをすることで、こうしたコスト上昇分を補う狙いがあります。
また、パッケージ版(物理版)の値上げに合わせて、価格差が生じないようデジタル版も同じ価格に設定する場合もあります。
理由②:開発費の高騰に伴う価格調整
もう一つの要因としては、ゲームそのものの開発費が高騰していることが挙げられます。近年のAAAタイトルは映像表現やコンテンツの充実化が進み、それに伴って開発コストが飛躍的に上昇しています。これにより、価格を引き上げざるを得ない状況が生まれています。
理由③:「単に値上げできるから」という強気の判断
そしてアーマド氏は、「単純にパブリッシャーが値上げできると判断すれば、デジタルゲームも値上げされることがある」と指摘しています。消費者が価格上昇を受け入れると判断すれば、メーカー側としては価格を引き上げる動機が生まれます。
任天堂やマイクロソフトが価格上昇を主導、ソニーも追随か
実際に任天堂は2025年の『マリオカート ワールド』の価格を80ドル(約1万円)に設定すると発表。一方、『ドンキーコング バナンザ』は70ドルで、すべてのゲームが高価格化するわけではありませんが、AAAタイトルの標準価格帯が確実に上昇傾向にあります。
また、マイクロソフトも2025年5月1日に一部ゲームを80ドルに値上げすると発表しました。ゲーム機本体(Xbox Series X)の価格も値上げされ、一部ではPS5 Proを超える価格になるモデルも出ています。ただし、Xbox Game Passの価格は現時点で変更されていません。
今後の焦点は、ソニーが追随して価格を引き上げるかどうかです。業界全体が値上げ傾向にある中、ソニーの動向にも注目が集まっています。
『GTA6』は100ドル超えも?AAAゲーム価格のインフレ事情
2020年には、Take-Two Interactiveが『NBA 2K21』を70ドルに値上げし、大きな反発が起きなかったことから、以降のAAAゲームの基準価格が70ドルへと上昇しました。
ゲーム業界の一部では、「次世代AAAゲームはさらに価格が上がるだろう」との声もあり、特に期待の『GTA6』については「100ドル(約1万2500円)でも売れるはずだ」との意見さえあります。参考までに『GTA5』の2013年発売時の価格は60ドルでしたが、2025年時点のインフレ調整後は約82ドル(約1万200円)相当に達します。
しかし、Take-Twoはまだ『GTA6』の価格を正式に発表しておらず、注目が集まっています。
背景にある米国の関税政策の影響も?
またマイクロソフトや任天堂などが急激な価格上昇に踏み切った背景には、米国政府の関税政策も影響している可能性があります。特にトランプ政権時代から続く関税引き上げの影響で、『Nintendo Switch 2』などの新ハードウェアはすでに価格上昇が確認されています。
ただしマイクロソフトに関しては、直近3ヶ月間で700億ドルもの収益を上げ、258億ドルの利益を計上しているにもかかわらず、多くの製品を値上げする理由については曖昧なままです。
まとめ:ゲーム価格の高騰は今後も続く?消費者の選択が重要に
ゲームの価格は今後さらに上昇する可能性があり、特にAAAタイトルを中心にデジタル版・物理版ともに価格差がなくなる傾向があります。消費者にとっては価格設定が今後ますます重要な要素になるでしょう。
ゲーム購入を検討している方は、引き続き業界動向を注視する必要がありそうです。
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